ルアーフィッシングをする人なら、お気に入りや思い入れのあるルアーが一つ二つあるかと思います。
それが未来永劫、いや自身が釣りを続けられる間だけでも販売され続けてくれるならば、何も問題はありません。
しかし、一部のラパラ製品のように、長きにわたって生産され続けられるものはごく少数であります。
こと日本のルアーメーカーに至っては、釣りの流行り廃りに敏感すぎるのか、発売と廃盤を不必要に繰り返しているように思えてなりません。
また、ルアーというものは消耗品です。
引っ掛けて失くしたり、木や岩にぶつけて壊れることもあります。
お気に入りのルアーを失くしたら、もう二度と手に入らなくなっていた、などという事態も十分に起こりえるのです。
私は自分の使っているよく釣れるルアーばかりが廃盤になるので、少し不思議に思っていたところです。
読者諸氏のなかにも似たような経験がある方はいらっしゃるのでしょうか。
廃盤にして希少価値が上がっても、中古市場で価格が高騰するだけでメーカーには何の得もなさそうですから、細々と生産を続けてはくれないものですかね。
私にもお気に入りのミノーがいくつかあるのですが、それらも例に漏れず、カラーがやルアーそのものが廃盤となってしまいました。
そのどれもが現在では手に入れづらくなっています。
そのうちのひとつは、これまでで最も大きなイトウを釣ったシンキングミノーです。
このルアーはイトウに限らず、トラウト類は何でもよく釣れました。
しかし、97センチのイトウを釣った記念に退役させたボロボロの一つを除いて、現役として私の手元にあるのは一個だけになってしまいました。
もともとがあまり売れ筋の商品ではなかったのでしょうか。
ネットオークションなどで中古を探してみても、一度も見かけたことはありませんでした。
お気に入りであるが故にロストすることを恐れるあまり、近頃は活躍の機会を失いつつあるような気がしてなりません。
ルアーボックスの中で寝かせていても、何の釣果も生み出さないことはわかってはいるのですが。
また、数あるルアーカラーのなかでも私はワカサギをイミテートしたものを好んで使用します。
そのなかでも最も多くのイトウを釣り上げている、我がルアーフリートの旗艦的存在があるのです。
バスデイ社のシュガーミノーSGという有名なこのルアー。
こちらは数々の魚に齧られ、また根掛かりから生還し続けてきた古参兵で、塗装が剥げまくっていますが未だに現役で酷使しています。
この製品は現在も生産されており、数多くのカラーバリエーションが展開されていますが、私の使っているカラーはもう何年も前に廃盤にされたようでした。
代わりに展開されているのは、チャート系やメッキ系の派手なカラーばかり。
最近の人気カラーは、これらに集中しているのでしょうか。
なんだか派手すぎてセンスがないような気がしてしまい、個人的にはあまり好みではありません。
そうかと思えば、手元のルアーのなかでは数少ないチャート系を使用している某ミノーは、どうしてかそのカラーだけが廃盤になりました。
奇抜な色でありながらも柄のデザインが秀逸で、実際に魚もよく釣れたものなのですが、まったくもって残念な限りです。
こちらはかろうじて中古品がポツポツ出回っている程度ですが、今年切株に引っ掛けて失くしてしまったのと同じものを、先日再び手に入れることができました。
やはりよく釣れるルアーであれば、予備としてなるべくストックを抱えておくべきですね。
しかし、ルアーというものは非常に高価です。
最近では世間が物価高に騒いでおりますが、ルアーも例外ではなく、量産品であっても二千円から三千円の価格が珍しくありません。
ハンドメイド製品の中には、目ん玉が飛び出るような価格で取引されているものもあります。
それでいて、次々と新しいものが発売されては廃れていく。
一方で、デフォルメされた可愛らしいデザインで、世界中で何十年も変わらず安定した釣果を叩き出しているフィンランド製のバルサミノーもある。
昔は釣具屋のワゴンセールで、並行輸入品のラパラが安くたたき売られていた時代もあったと聞きます。
しかし、そのラパラ製品さえも価格高騰の波から逃れることはできないようです。
そういえば、先日Fさんのクローゼットから出てきたキングサーモンを釣るためのスプーンも、古びたパッケージに張られていた値札は二ドルと数十セントでした。
いまでもアラスカで同じものが売られていたとして、きっと十ドルくらいはするのでしょう。
これぞまさに「昔はよかった」というやつなのですかね。
賢明なる読者諸賢は、すでに十分なストックを備えていると存じますか、もしお気に入りのルアーと巡り会えた折には、懐の許す限り買い込んでおくことを推奨します。