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エッセイ

  • 2022年11月17日

やっぱりUGUI KILLER

今年最後となる阿寒湖への弾丸釣行を決行した。 我々の予想に反してその釣果は出来過ぎと言えるくらい満足のいくものであったが、僕は再びあの魚の猛攻を受けることになる。 昼下がりにニジマスのアタリがぱったりと途絶えた頃、彼らは突如として襲来したのだった。   […]

  • 2022年11月7日

北の南限、南の北限。

東京でもひと雨ごとに肌寒さが増すようになった十月の終わり。 僕とFさんの二人は今年最後になるであろう釧路への一泊二日の弾丸釣行を決行した。 あれから二週間で秋も深まりすっかり寒くなった。 まだ色づき始めたばかりだった北地の木々もいよいよ妖艶な色彩を呈するように […]

  • 2022年8月31日

The Garden of Majestic Life

鳴く虫の趨勢が、セミたちから秋の虫へと移ろいつつある季節の短い狭間、僕は都内にある小さなバルコニーにいた。 ここは、Fさんがその人生の多くを過ごしてきた、自宅マンションの一角だ。観葉植物に囲まれ、片隅には見事な木彫りのブラックバスが鎮座している。 サイドテーブ […]

  • 2022年5月25日

朱鞠内湖で婚姻色のイトウを釣ること

イトウは在来の日本産サケ科魚類のなかでは唯一、春に産卵をおこなうことで知られている。 春の訪れがまだ先に感じられる北の大地で雪解けが始まる頃。 朱鞠内湖のイトウたちは生まれ育った流入河川の源流域へ遡上し、生命を繋ぐために自らの存在意義をかけた繁殖という一大事業 […]

  • 2022年5月23日

三人目のUGUI KILLER

過去に二人のUGUI KILLERと呼ばれた釣師たちがいる。 ウグイという魚に対する釣師たちの認識を紐解いていると、アイザック・ウォルトンの名著『釣魚大全』のなかで、一つの章が割かれていたことを思い出した。 その冒頭では、“鯎(うぐい)はうまく料理すればおいし […]

  • 2021年12月31日

Blue December blue

壁に掛けた外気温計が未だ氷点下を示す冬の夜明け。 階下に置かれた薪ストーブからは、昨夜残した熾火が今なお微かな温みを放射し続けている。 窓の外ではアカマツの枝に霧氷が霧の花となって咲き、稜線から顔を覗かせた日の光を受けて光り輝きはじめた。 夜の間に付近を徘徊し […]

  • 2021年11月6日

文豪も愛したマナガツオ

心地よく晴れた11月のある日曜日の昼下がり。 かねてから訪れたかった茅ヶ崎にある開高健記念館を見学してきた。 芥川賞作家の開高健が晩年を過ごした旧邸宅を改装し、書斎や関連資料を保存する記念館として一般公開をしている場所だ。 人間というのは何とも単純なもので、「 […]

  • 2021年10月3日

アームチェア・フィッシャーマン

釣りに行かず書斎に籠り、釣りの本ばかり読んでいる状態の釣り人を、アームチェア・フィッシャーマンと呼ぶそうです。 肘掛け椅子に深く腰掛けて、読書に耽る様子が目に浮かぶ秀逸な表現ですね。 まるで、雨の日の釣師のような。 そんな大それたものではありませんが、これは近 […]

  • 2021年9月9日

コバルトブルーの記憶

大村湾は長崎県の中央部にぽっかりと空いた湖のような穏やかな内湾だ。 地の理に詳しくない人のために書いておくと、北部の湾口が非常に狭く極めて閉鎖性の高い海域のため、夏には赤潮や貧酸素水塊が頻発する。 そのような特性から一時期は海洋汚染の象徴ともいえる場所だったの […]

  • 2021年7月25日

秘境タマゾン川

大学時代には研究室でのフィールドワークの一環として、近隣を流れる二級河川の魚類調査に勤しんでいたことがある。 ウェーダーを履いてタモ網で魚を捕るのだが、その仕草から俗に言う「ガサガサ」と称されるものだ。 あるときそんな趣味が高じて、先輩や同期達と連れ立って放課 […]