朱鞠内湖で釣って満足できるイトウの大きさ。

朱鞠内湖のイトウ釣りにおいて、釣果として満足できるイトウの大きさはどのくらいだろうか。

「おい、君。大きさじゃないんだぞ。」

と恰好の良い言葉を吐けたらいいのですが、それは人生で余程たくさんの魚を釣ってきた人か、道の極致に達した達人でもない限り難しいでことしょう。

 

朱鞠内湖のイトウの平均サイズ

朱鞠内湖で釣れるイトウは、直近数年間で小型化が進み、平均的な大きさが以前の60センチから、現在では50センチ程度に推移しているように思われます。

最近、これまでにないくらい50センチ前後の個体が多く釣れている印象なのです。

二〇十九年の春、一週間で十匹以上のイトウを釣ることができましたが、78センチと63センチを除いて、残りはすべて50センチ以下の個体でした。

また、今年の五月にも朱鞠内湖へ行った釣りの師匠の釣果を聞いても、95センチ以外は60センチが一匹と、残りは50センチ前後ばかりの合計十匹で、少し不満が残ったとのことです。

おそらく、この数年間に再生産した若い年級群が卓越してきているのでしょう。

もっとも、小さい若齢魚が多く釣れるということは、個体群の再生産が健全に維持されていることを示唆します。

朱鞠内湖でイトウの保全活動に取り組まれている多くの方の努力の結果ともいえるものであり、喜ばしいことでもあるのです。

 

釣り人の欲は際限なく増長してしまうのか…。

私が人生ではじめて釣ったイトウは50センチでした。

当時は最初の一匹と巡り合うまでに二年の月日を要したので、大変感動したのを良く覚えています。

 

しかし、今ではどうでしょう。

幸か不幸か、その翌年には既に97センチのイトウを釣ってしまっています。

おそらく、同じ50センチでも、50センチのウグイが釣れたほうが、物珍しくて喜んでしまうかもしれません。

まったく、大きな魚を釣れば釣るほど、釣り人の欲は際限なく増長してしまうといっても過言ではないのでしょうか。

 

釣りの名手である友人も、今年は60センチばかりだと愚痴をこぼしていたそうです。

平均的な大きさが50センチの状況下で、70センチオーバーを何匹かと、60センチの個体を釣っているのですから、釣りに行けない現在の私からみれば、何とも贅沢な話であります。

 

まあまあ満足できる大きさの基準は60センチ。

イトウは7、80センチになると、体の太さも色も全く違ってくるので、釣った時の喜びは大きくなります。

90センチ以上ともなれば、簡単にお目にかかれるものではありませんので、尚更でしょう。

イトウの魅力を満喫できる大きさは70センチ以上が理想ですが、私は自分の中で、60センチ以上は釣ってまあまあ満足できる大きさの基準にしています。

そこそこの数がいて、かつそれなりにイトウらしさを感じられる大きさだからです。

やはり、50センチでは数が釣れても“満足”とまではいかないですね。

考えれば考えるほど、つくづく我儘で贅沢な話です。

 

一方で、釣られたイトウの側としては、生きるために餌を捕食したつもりが針に掛けられ、散々引っ張り回された挙句に、「小さい」なんて不満を漏らされたら、堪ったものではないでしょう。

「もうお前のルアーには釣られてやらん。」

なんて言われることはないのでしょうが、遊漁規則を遵守しているとはいえ、希少な魚類を傷つけてしまう行為には変わりありませんので、大きさに関わらず丁寧に扱ったうえ感謝してリリースするべきなのだと思います。

 

魚が減ったり居なくなってしまっては、釣りをすること自体が難しくなってしまうのですから。