「釣った魚は食べるもの」が一般常識か。

「釣りが趣味です」と言うと、釣りをしない人からは必ずといって良いほど「釣った魚は食べるんですか?」と聞かれます。

 

しかし、トラウトフィッシングをはじめとしたゲームフィッシングの世界では、現在はキャッチアンドリリースが一般的となりつつあります。

そこで「全部逃がしてますよ」と答えると、相手は怪訝そうな顔をして、「それって何が楽しいんですか?」と返されるわけです。

この認識の乖離は、釣りをしない大多数の人からすると、釣りとは今晩のおかずを狙って堤防で糸を垂れるもののイメージが強いからなのでしょう。

ある朝の朝食

確かに釣り人の数からすると、海釣り人口はトラウト釣りのそれよりも圧倒的に多そうですし、子供の頃に親に連れられて釣りをしたことがあるという人でも、その殆どは手軽な海釣りや管理釣り場がほとんどなのでしょう。

最近では、コロナ禍でも楽しめるアクティビティとして、釣りを始める人が増えてきたという話も耳にしますが、こちらも同様の傾向であると考えられます。

 

私もトラウトフィッシング以外の釣りをしますし、魚を持ち帰って食べることもあります。

また、魚を食べるのも料理をするのも好きなので、釣ってきた魚を調理することも苦ではありません。

カワハギ捌景

しかし、それでも積極的に釣った魚を食べるために釣りをすることは少ないです。

やはり私にとっては、トラウトフィッシングは他の釣りとは根本的に目的が異なります。

自然に恵まれた環境の中で息抜きをしつつ、魚を釣ることそのものを目的としたゲームフィッシングには、他の釣りには代え難い価値があると思うのです。

しかし、人口の大部分が都市部に集中している現状では、よほど自然が豊かな地域で育った一部の人でない限り、幼少期からこのような釣りに親しむ機会はほぼ皆無といえるのでしょう。

 

そう考えると、釣り業界自体が斜陽と言われる近年では、世間の人から見ればトラウトフィッシングのような釣りは、ごく一部の物好きな大人だけがやっている稀有な嗜みなのかもしれません。

釣って食べるためだけではなく、魚を釣ること自体やその過程にも、釣り本来の醍醐味があると私は思うのですが、釣りをしない人からは理解され難い趣なのでしょうか。