朱鞠内湖でイトウのルアーフィッシングに挑戦してみたいという方の中には、ルアー選びで悩まれる人も多いのではないでしょうか。
膨大な数のルアーの中から、これぞというものを見極めるのは難しいですよね。
私も過去には同じことで試行錯誤した経験があり、最初の一匹と巡り合うまでには約二年の月日を要しました。
今でこそ本気で釣りを始めてから数年目にして、一度の釣行で二桁のイトウを釣ることもできるようになりましたが、当初は全く的外れなルアー選びをしていたものです。
そこで今回は私が実際に朱鞠内湖でイトウを釣った実績のあるルアーに限って、厳選したものをご紹介したいと思います。
なお、朱鞠内湖では「シングルバーブレスフックでルアーに針は二個まで」と遊漁規則で定められています。
トレブルフックは必ず換装してから使用するようにご留意ください。
リリースするとはいえ趣味のために稀少な魚を傷つける以上、釣り人は少しでも魚体に負荷の少ないよう配慮したいものですね。
ベイトフィッシュの想定
ルアーフィッシングの基本としては、まずターゲットである魚が主に捕食しているベイトフィッシュを想定してルアーを選定します。
朱鞠内湖のベイトフィッシュとして最も数が多いのはワカサギです。
特筆すべきは朱鞠内湖のワカサギが他の湖と比較してとても小さく、だいたい5センチから大きくても10センチ程度である点です。
したがって必然的に使用するルアーも10センチ以下のものが主となり、他のタックルもそれに合わせるのが良いでしょう。
特に最も釣りやすい解氷直後のワカサギが群れている時期には、他のベイトに見向きもしない状況さえあります。
一方で、ウグイが産卵期を迎える六月や秋シーズンには、その他のベイトフィッシュを追いかけていることも多いようです。
ヒットしたウグイやサクラマスをイトウに齧られたという話も良く聞きますから、これらの時期は大きめのミノーも活躍の機会があると思われます。
1. バスデイ シュガーミノーSG
トラウト用ミノーの定番シリーズといえるルアーのひとつですが、朱鞠内のイトウに限らずアメマス、サクラマス、阿寒湖のニジマスから極めつけはウグイまで、とにかく何でも良く釣れるのです。
私の持っているルアー達の中でも主力級の活躍をしてくれています。
とりあえず釣り場に一つは持って行っておいて損はないでしょう。
SGというのは「シャフトグライダーシステム」の頭文字とのことで、消音性の高い重心移動システムを搭載しています。
このミノーは多くのサイズがあるのですが、私が主に使用しているのは90F・80Fと70Fの三種類です。
特に70Fは朱鞠内湖のワカサギの大きさとも非常に良くマッチしているのではないかと思います。
複数のイトウが岸際にワカサギを追い込んでライズを繰り返しているときには、70Fを数メートル投げてただ巻いてくるだけで連続してヒットしたことがあったからです。
さらにインレットや流れ込みに入り込んで定位している個体を近距離からピンポイントで狙う際にも扱いやすいので重宝します。
ただし70mmのルアーであっても平気で70センチ以上のイトウが喰ってきますので、フックは頑丈なものに換装しておくことが必須でしょう。
丸呑みにされてしまった場合はフッキングに難がある可能性も考えられますので、大きめのリアフックのみでの使用を検討してみるのも良いかもしれません。
2. SMITH パニッシュ85F
こちらもトラウト用ミノーの定番とされています。
リップが大きいディープダイブタイプの「DDパニッシュ」ではなく、通常のパニッシュです。
ゆらゆらとした如何にも釣れそうなローリングが強めのアクションをしてくれますが、使っていると実際に良く釣れました。
向かい風のベストコンディションで岸際に投げていたら、イトウを始めサクラマスやアメマスが次々と連続して釣れましたので、実力は折り紙付きです。
また、カラーバリエーションも豊富で選ぶ楽しみのあるルアーでもあります。
ひと回り小さいパニッシュ70Fもベイトサイズとはマッチしています。
お好みで使い分けてみてはどうでしょうか。
3. SMITH チェリーブラッド MD90/SR90
チェリーブラッドはSMITH製のサクラマス用ミノーです。
重心移動システムが内蔵されているため飛距離が出やすく、かつコントロールも容易なように感じます。
ミッドディープタイプのMD90は潜行深度がカタログスペックで1mから1.5mとされていますので、岸際のカケアガリ沿いなど水深のあるポイントを攻めるのに適しています。
また、ロッドを立てて引いてくれば多少であれば水深が浅くても問題なく使えますし、私は実際にそのような使い方をしても釣れていますので、意外と汎用性の高いミノーではないかと考えています。
一方でSR90は潜行深度が70cmから80cmとされているので、シャローエリアの多い朱鞠内湖では比較的オールマイティに使いやすいのではないでしょうか。
その投げやすさと飛距離から、私は岸から離れた場所にある切株周りや立ち木の間を狙うのに好んで使用しています。
4. タックルハウス BITSTREAM F95
潜行深度が50cm程度と浅いため、このルアーもシャローエリアの多い朱鞠内湖では使いやすいと思います。
また足元までしっかりと泳いでくれる印象なので、ルアーをピックアップ間際まで追ってくることの多いイトウには適しています。
さらに重心移動システムも内蔵されており、逆風でも気持ちよく飛んでいってくれるので、投げていて気分が良いです。
カラーバリエーションは多種にわたるので、お気に入りの一色を探してみてください。
私が愛用しているのは「シルバー・ブラック・オレンジベリー」というカラーになります。
お腹がオレンジ色なのはウグイの婚姻色と同じですので、ウグイの産卵期にあわせて使ってみたいですね。
5. JACKALL ミディア88S
バス用ルアーで有名なメーカーであるJACKALLのトラウト用ミッドディープタイプミノーです。
ワカサギを模したいう美しい色合いにキビキビとした動きが気に入っていますし、固定重心ながら普通にキャストしてもとても良く飛びます。
朱鞠内湖では珍しい、道東の湿原河川のイトウのように丸々と太い97センチの個体を釣ったのもこのルアーでした。
しかし数年前までは販売されていたものの、残念ながら現在は製造終了してしまったようです。
中古で見かけることがあれば、ぜひ購入して使用してみてください。
後継製品という位置づけはされていないようですが、現在のJACKALL製品のラインナップから似たようなものを探すならばこちらのモデルが候補となるでしょうか。
6. ラパラ フローティング&カウントダウンジョインテッド
言わずと知れた北欧フィンランドの伝統メーカー・ラパラの名作ジョインテッドミノーです。
ジャンルを問わずフィッシュイーターはどのような魚でもとても良く釣れると評されるルアーですね。
この独特のにょろにょろとした動きは、まるで本物の生き物のように見えてきます。
もっとも普通の小魚というよりは、ドジョウやウナギのような細長い魚の泳ぎ方に近いと思うのですが、イトウにもそれが魅力的なのでしょうか。
フローティングタイプとシンキングタイプがあり、状況に応じて使い分けができるのもありがたいです。
唯一の難点は他のルアーと比較して軽いため、強い逆風下では全然飛びません。
しかし、そういった状況では岸から数メートル投げれば釣れることも十分ありますし、デメリットに勝る素晴らしい性能を誇るルアーであると思います。
ちなみに切株に座ってラパラを投げたら大きなイトウが釣れた、という嘘のような奇跡を生んだことがあるのもこのルアーです。
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7. ラパラ カウントダウンエリート CDE75
2019年の秋にラパラが世に送り出した新作のバルサ製ルアー。
それがこのカウントダウンエリート CDE75です。
メーカー自身から「ラパラの最高傑作」と謳われて売りに出されているくらいですから、余程の自信をもって開発したものとみえます。
このルアーはボディ本体がバルサであるものの、メタルジグなどで使用されるタングステンという重量のある金属がコアウエイトとして埋め込まれています。
なるほど。手に持ってみると大きさのわりにはずっしりとくるものです。
バルサ製にこだわりのあることで知られるラパラですが、とても面白いルアーを開発したものだと思います。
すでに評判は上々のようですが、今年はラインナップに新色が多数追加されたので、ますます活用の幅が広がるかもしれませんね。
私はまだこのルアーであまり数を釣っていないのですが、朱鞠内のロッジに宿泊した際にこのルアーで「めちゃくちゃ釣れた」という話を聞きましたのでご紹介しました。
ぜひ、あなたの手で真偽のほどを確かめてみてください。
ルアー選びの経験と哲学と矜持
ルアーフィッシングをされる方の中には、ルアー選びに関して独自の哲学や矜持をお持ちの方も多いかもしれません。
私自身もどんなに秀逸なインプレッションで勧められていても、見た目が気に入らず使う気になれない場合があります。
極論ではありますが、結局は自分の気に入ったルアーを満足のいくまで投げているのが一番良いのではないかと思います。
もしそれで釣れなければ、その経験を活かしてまた別のルアーを選べば良いのです。
魚を釣ることだけでなく、そこに至るまでの過程を楽しめこともまた釣りの醍醐味のひとつであるのですから。
いつだって、魚はきちんと自分の釣り方に解答を示してくれています。
己の経験と哲学と矜持をフル活用してお気に入りのルアーを見つけてください。
みなさんも心躍る感動の一匹と巡り会えることを願います。