午前中は降り続いた雨が止んだ、六月のある午後。
ふと窓の外に目をやると、職場から望む東京湾に浮かぶ雲も、すっかり夏の様相を呈している。
今年の春は、北海道への釣りに行けずに儚く過ぎ去っていった。
そんな最近の心境を、一筆認めたくなった。
春はトラウトフィッシングのベストシーズンのひとつですが、春季の釣行は二年連続で叶いませんでした。
昨年は緊急事態宣言で湖が閉鎖し、今年は私個人の経済的理由が原因です。
私の勤務先は、世界を騒がせている例のあれの影響が極めて甚大であるため、基本給減額と無賞与のダブルパンチを食らい、家計のキャッシュフロー改善が急務となってしまったのです。
しかし、昨年末の段階で予測はできており、今年の釣りは諦めてはいたものの、釣り仲間の釣果を耳にするとやはり堪らなくなりました。
屈斜路湖で80センチのアメマスを釣ったり、朱鞠内湖で95センチのイトウと巡りあったり、休暇で三週間も北海道の釣りを満喫できたりなんて、全く羨ましい限りです。
北海道まで遠出をして、ある程度まとまった期間の釣りをするとなると、それなりの金額が必要となります。
人によって違いはあるかと思いますが、主として航空券代・レンタカー・燃油費・宿泊費・食費・消耗品の釣り具などがあげられるでしょう。
私の場合、一回の釣行で平均一週間以上は滞在するので、大体七万円~十万円程度でしょうか。
家計管理では、お金の使い方として「浪費」「消費」「投資」の三種類があるとされますが、これだけの金額を年数回も「浪費」で使っているとなると、キャッシュフローの改善を考えるうえで、真っ先に削減対象とせざるを得ませんでした。
もっとも、これは私にとって「人生を豊かに生きるため」のエッセンシャルな浪費ではあるのです。
一方で、現在のような言うなれば有事においては、「とりあえず生きていくため」に必須の「消費」ではありませんので、当面の間は臥薪嘗胆の思いで釣りを我慢する日々が続きそうです。
正直なところ、北海道へ釣りに行くくらいの貯えはあるのですが、先が読めない現状で来年会社の業績が回復したとしても、従業員の賃金改善はさらに遅れるでしょうから。
しかし、ありがたいことに、このような状況でも、斯様な戯れ文を一筆書きたい欲求に駆られてブログを始めたり、社会人学生として再び大学で学んだり、最低限の自己投資は継続して資格の勉強を続けることで、それなりに充実した毎日を送れてはいます。
また、多趣味なのが幸いして、もうひとつの筆頭趣味である読書がありますので、積読本の処理は捗りそうです。
今はじっと耐える。
一番の趣味を一時的に失っても、暗い坂道を上り続ける日々を越え、いつかきっと幸せを掴まなければならないのですから。
再び北海道の自然の中で竿を振えるその日まで。