釣りに限らずキャンプ・登山・アウトドア系スポーツといったいわゆる「外遊び」は、何かと時間とお金のかかる趣味かと思います。
道具や装備を揃え、自然のある場所へある程度まとまった日数で出掛けるのですから、交通費や宿泊費もそれなりに必要でしょう。
私の弟は長らく無趣味だったのですが、『ゆるキャン△』というアニメの影響でキャンプに目覚めたそうで、無趣味ゆえの潤沢な貯金で車を買い、道具を揃えてソロキャンプを楽しんでいるようです。
一方で、私は勤務先が世界を騒がせている例のアレの影響が甚大な業界であるため、賞与なしに加えて基本給減額の憂き目にあっておりますので、北海道への釣り旅行の断念を余儀なくされています。
一回の釣行で一週間程度は北海道に滞在し、移動のためにレンタカーを借りる必要もあるため、だいたい10万円前後は使っていました。
釣りは人生を豊かに過ごすためのかけがえのない浪費と考えてはいるものの、それを年数回も繰り返していればかなりの出費となるので、残念ながら真っ先に予算を削減せざるを得ませんでした。
「じゃあ近所の運河にでも釣りに行けばいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、明確な目的をもって釣りをする以上それでは代替が効かないのです。
私は社会人となってから本格的に釣りを始めたのですが、きっかけは父の友人であり両親の仲人でもあるFさんから、北海道のイトウ釣りに誘われたことでした。ルアーフィッシングを真剣に始めたときの心境を、当時の私は手記に記しています。ー[…]
現在は家計簿アプリを駆使してせっせと節制に努めています。
釣りに行けない状況で家計のキャッシュフロー改善に取り組みつつ考えたのが、外遊びの趣味を心から満喫するためには、さまざまな制約を乗り越えることができる経済的自由が不可欠であるということです。
この臥薪嘗胆の日々の中で、釣りと経済的自由について考察してみました。
時間的・時期的な制約
まず自然が相手のアウトドアの趣味では、それに最適な時期というのが限られてきます。
真夏にスキーやスノーボードのウィンタースポーツを楽しむことはできませんし、雪深い冬の時期に家庭菜園を営むこともできないでしょう。
特に釣りや狩猟のような生き物がらみには禁漁期(禁猟期)というものが存在することもあるため、さらに制約が加わります。
私が趣味としている北海道のトラウトフィッシングも、冷静に考えてみるとベストシーズンは一年間のうち春と秋のほんの数か月しかありません。
十二月から翌年の四月頃までは、川や湖が凍ってしまって物理的に釣りが不可能ですし、水温の上がる真夏は魚の活性が下がり、釣るのが難しくなります。
地元に住んでいる人を除いて、私のように遠方から訪れる場合にはこの最適な時期を逃さないために、仕事よりも趣味を優先して休みを取れるような時間的な自由が必須といえるでしょう。
私の父を見ていると、多少金銭的な余裕があっても仕事が忙しくなかなか休暇が取れないようで、もう何年も一緒に釣りに行けていません。
好きな時に好きなことを楽しむためには、給与以外の面でも仕事を選ばなければならないと感じました。
お金のために楽しいことを犠牲にせずにすむ自由が欲しいと強く望みます。
物理的・距離的な制約
普段は都市圏で生活をしていて、本当に自然が豊かな地域へ出掛ける場合、ある程度の距離を移動する必要があります。
現代では交通手段が多様化しているものの、利便性を考えるとアウトドアのための長距離移動は航空機か車の二択になってくるのではないでしょうか。
格安航空会社が増えてきたものの、航空券は決して安いものではありませんし、自家用車であっても燃油代や高速道路料金の出費は避けられません。
これは次に述べる金銭的制約と関わってきます。
私も北海道へ釣りに行く際には、毎回航空機を利用しています。
公共交通機関を利用する場合、自分の都合通りには動いてくれませんから、当然時刻表に合わせた旅程を組む必要が求められるでしょう。
最終便では家まで帰りつけないため、旅程の最終日は移動のみに費やす場合も出てきます。
また地方空港では便数が少ないうえ、経由便を利用しなければならないこともあり、現状では減便などでさらに移動の制約が大きくなっていると思います。
そうなると、前述した時間的制約とも密接に関わってくるのです。
金銭的な制約
現在、都市部で生活するうえでは車は必須のものではなくなってきています。
私の生活する地域ではカーシェアリングの普及が目立ちますし、維持費を削減して家計を改善するために車を持たない人も増えているのではないでしょうか。
特に東京などでは、一か月の駐車場代で地方のアパートが借りられるほどの金額を持っていかれます。
かくいう私も数年前には祖母のお下がりで手に入れた古い車を持っていたのですが、あまりにも乗る機会が少なくバッテリーが上がってしまううえ、保険料や車検に加えて社宅の賃料以上の駐車場代を支払うのがもったいなくなって、遂に手放してしまいました。
都市部で趣味のために車を持つことは、いまや贅沢の部類に入るのかもしれませんね。
先に述べた空路での移動でも航空券は比較的高額なものですし、遠征先での宿泊費や食費も無視できる金額ではありません。
誰だってせっかく息抜きのため遠路はるばる出かけてきたのに、現地で常にお金の計算を気にしなければならないのでは、楽しさも半減してしまうというものでしょう。
仕事で出会うお客さんの中には、シーズン中は毎週のように飛行機に乗って北海道へ釣りやゴルフに行っている方もいるくらいですから、彼らは経済的自由を達成しているのだと思います。
さらにアウトドアでは自前の道具や装備を一式揃えるのにも、相応のお金が必要なのも難点です。
学生時代にダイビングにハマっていた時には、自前の機材を持っている学生にその金額を聞いて飛び上がりそうになった記憶があります。
私の後輩には飛行機の操縦免許に加えて小型船舶免許を取得し、それに飽き足らず大型二輪の免許も取りたいなどと言っている人がいますが、とても真似できそうにありません。
また物にもよりますが、具体例をあげればキャンプ用品などを最近流行りの100円ショップですべて賄うのも無理があると思います。
突然の雨への対策として必須のレインウエアひとつとっても、ゴアテックスなどの高機能素材を使用したものは割高となるのが避けられないでしょう。
しかし、ここで出し惜しみをして中途半端な物で妥協してしまうと、いざフィールドへ出たときに後悔することになるのは往々にしていえることなのです。
釣り道具を買う時の矜持
私は釣り道具を購入する場合、まずはなるべく状態の良い中古品を探すようにしています。
古いものが好きなこともありますが、前の持ち主に丁寧に扱われていたことが伺える物は自分も大切に使いたくなりますし、消耗品でない限りあえて新品を購入する必要性を感じないからです。
特に最近の釣具は機能や性能面の向上に加えて、ジャンルによっては売れなくなりつつあるため、利益の出る高級志向で価格帯が上昇している現状もあり、ますます新品からは手が遠のきそうです。
しかしながら、安くて無難な物を購入しても結局愛着をもてない性格でもあるため、長年使用できるだけの魅力と耐性を兼ね備えた物を選ぶとなると、やはりそれなりの金額になるように感じています。
最後に…
ここまで書いてきて、釣りと経済的自由の密接な関係性について私自身が改めて理解するきっかけとなりました。
そして好きな時に好きなだけ釣りをするために、経済的自由を目指していきたいと思った次第です。
働く時間を選ぶことができ、家族と友人とゆっくり過ごし、行きたい場所にいつでも行ってやりたいことを存分にやるためには、険しくとも避けては通れない道でしょう。
いざキャッシュフローの改善に取り組んでみると、自分の家計にある無駄を把握し、節約生活をそれなりに楽しむ余裕まで生まれてきました。
現在の私の生活を聞いた大学時代の友人からは、「令和の下級武士」と呼ばれてしまっています。
本物の武家の末裔だったという父方のご先祖様からは怒られるかもしれませんが・・・。
何も考える機会がなければいままでと変わらない浪費を続けていたと思いますので、お金について考え勉強せざるを得ない状況を与えてくれた世界を騒がす例のアレの影響は、決して悪いことばかりではなかったと思っています。
私と同じように趣味を楽しめない現状に置かれている方はいるのでしょうか。
もしもいらっしゃれば、ぜひ自分の趣味と経済的自由について考え、できるところから行動に移してみてほしいと思います。